不動産
プロフィール
  FP・宅建士 金子
  FP・宅建士 金子
はじめまして。
諏訪市出身の金子亮太郎と申します。

2005年に勤めていた地方銀行から独立して保険代理店を開業し、ちょうど10年。
新たにブログを始めるよいきっかけ、タイミングとなりました(2015年~)。

2018年より、不動産業(宅地建物売買仲介業)を開始しました。
<長野県知事(2)第5550号>

住宅金融支援機構 
住宅ローン「フラット35」取次店(ハウスデポパートナーズ)

【古物商許可番号】
長野県公安委員会 
第481202200022号
金子 亮太郎


よろしくお願いいたします。

<資格>
・生命保険協会認定FP
・日本FP協会認定AFP
・住宅ローンアドバイザー
・宅地建物取引士
・任意売却取扱主任者
・貸金業取扱主任者資格

毎週火・木・土・日開催の
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(ご予約専用:担当 金子)まで

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RETIOメルマガ11月1日

2019年11月01日

   FP・宅建士 金子 at 20:17  | Comments(0) | (財)不動産適正取引推進機構
★☆《令和元年度 宅地建物取引士資格試験の実施》★☆



◇ まず、令和元年台風19号及び低気圧による大雨(10月24日~26日)については、死者90名、行方不明者8名、負傷者447名、住宅全壊600棟、住宅半壊3,123棟(消防庁情報:10月28日6:30現在)となるなど、大惨事となりました。
犠牲となられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被害を受けられた方々には謹んでお見舞い申し上げます。

(なお、台風19号に係る宅地建物取引業の免許等の有効期間の延長等については、

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000651.html
を参照してください。)



◇ さて、去る10月20日(日)には、当機構が都道府県知事の委任を受けて実施している令和元年度の宅地建物取引士資格試験が、全国で実施されました。当機構が発表した速報版によると、全国で、276,019名の申込者のうち、220,694 名が受験しました。申込者、受験者とも、昨年度より、増加となっています。
受験された方々、各会場で設営に携われた方々におかれては、大変お疲れ様でした。

なお、合格発表は、12月 4日(水)です。

(参考:http://www.retio.or.jp/exam/pdf/uketuke_jokyo.pdf



◇ 一方、行政の動きについては、去る10月18日(金)に、国土交通省の社会資本整備審議会の住宅宅地分科会に、マンション政策小委員会(委員長:齊藤広子 横浜市立大学国際教養学部教授)が設置され、審議が開始されました。

本委員会は、我が国におけるマンションの現状(約655万戸、国民の1 割以上が居住)や、高経年マンションが急速に増加する見通し等を踏まえ、マンションの維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取組みの強化等、マンション政策のあり方を検討するものです。

不動産の適正取引を図る観点からも、マンションの維持管理、再生は大きな課題であり、今後の審議を注目していきたいと思います。

(参考: http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_mannsyon01.html



◇ また、国土交通省の国土審議会の土地政策分科会の企画部会で7月から始まった審議が佳境を迎えています。
本審議は、バブル期に制定された土地基本法の改正と、人口減少社会に対応した「新たな総合的土地政策」の策定について検討を行っているものです。

不動産の適正取引を図る上で、土地政策は一つの重要な基盤となるものであり、今後の審議を注目していきたいと思います。

(参考: http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s103_kikaku01.html



◇ 今年は、夏から先月にかけて、台風、豪雨等の異常気象に見舞われましたが、11月に入ろうとする頃になると、涼しさも増し、本格的な秋の深まりを感じるようになってきました。

11月も、皇位継承の重要行事が予定されていますが、秋らしい穏やかな気候が続いてほしいものです。

ちなみに、今年の紅葉の見通しについては、全国各地で見ごろは遅め、とのことです。
(参考:https://www.jwa.or.jp/news/2019/10/8439/





                  

◆◇◆ 行政の動き ◆◇◆

                  



★☆《平成30年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果 》★☆



国土交通省は、9月30日、平成30年度における宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣及び都道府県知事による免許及び監督処分の実施状況についてとりまとめて公表しました。



1.宅地建物取引業者の状況

 平成31年3月末(平成30年度末)現在での宅地建物取引業者数は、大臣免許が2,569業者、知事免許が121,882業者で、全体で124,451業者。

 対前年度比では、大臣免許が64業者(2.6%)、知事免許が605業者(0.5%)それぞれ増加。全体では669業者(0.5%)増加し、5年連続の増加。



2.監督処分等の実施状況

 平成30年度において、宅地建物取引業法の規定に基づき国土交通大臣又は都道府県知事が行った宅地建物取引業者に対する監督処分の件数は、以下のとおり。

 (1)免許取消処分 125件(-21件、14.4%減)

 (2)業務停止処分  31件( -5件、13.9%減)

 (3)指示処分    26件( -1件、 3.7%減)

 (4)合計     182件(-27件、12.9%減)



  http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000196.html





★☆《「全国版空き家・空き地バンク」の機能拡充 》★☆

全国の空き家等の情報を簡単に検索できる『全国版空き家・空き地バンク』について、国有財産を検索できる機能等を追加し、10月1日(火)より運営を開始しました。

これにより、国有財産の取引の更なる円滑化が期待されます。(10月23日公表)

   http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000197.html



 

                 

◆◇◆ 最近の判例から ◆◇◆

                  

[ 売買契約の違約解除]

宅建業者である買主には売主が抵当権抹消できるかどうか確認する義務がある、などとしたマンションの売主の主張を採用せず、買主宅建業者の売買契約の解除及び売主に対する違約金請求を認めた事例(東京地裁 平成29年7月18日判決 認容 ウエストロー・ジャパン)



1 事案の概要



 宅建業者Xは、平成28年2月24日、Yとの間でYが所有する投資用マンション一室を1200万円で買受ける売買契約を締結し、XがYに手付金10万円を契約日に支払った。また、Yは、同年5月31日に、残金1190万円を受領次第、所有権移転登記の申請手続をするものとされた。

 本件売買契約書では、以下の内容が定められている。

⑴抵当権の抹消等(7条)

 売主は、本件建物の所有権移転の時期までに、その責任と負担において、本件建物上に存する抵当権等の担保権等、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除する。

⑵契約違反による解除・違約金(13条)

 売主又は買主が本件契約上の債務を履行しない時は、相手方は、催告の上、本件契約を解除することができる。売主の違約により買主が本件契約を解除した場合、売主は、買主に対し、違約金として売買代金の20%相当額を支払うとともに、受領済みの金員を返還する。



 Yは、本件売買契約後、ローンの抵当権者である銀行に、本物件売却代金をローン残債務に返済することを条件に抵当権解除を申し入れたが、残債務と返済額の差が大き過ぎるとして同意を得られなかった。

 5月24日、Yは、Xに対し、本物件の抵当権者である銀行が抵当権の抹消に応じないため、錯誤により本件契約は無効であるとした通知書を送付した。

 これに対して、Xは、5月31日までに所有権移転登記手続をしない場合は、契約を解除し、Yは、Xに対し、違約金240万円及び受領済みの手付金10万円を支払うべき旨を通知したが、5月31日、Yは、Xに通知することなく本物件をXとの売買価格より高値で第三者に売却した。

 Xは、本件契約を解除したとして、Yに対して、本件違約金条項に基づく違約金240万円と支払済の手付金10万円の計250万円の支払を求めて提訴した。





2 判決の要旨



 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を全額認容した。



(本件違約条項の効力の有無)

⑴ Yは、XがYに宅建士の記名捺印のある37条書面を交付しなかったことから、本件違約条項の効力はないと主張するが、
ア)Xは、37条書面の交付を予定していたが、Yが契約の履行を拒絶したため、その交付をしなかったこと

イ)本件契約書には宅建業法37条の定める内容(本件違約条項を含む。)が記載されて おり、Yは本件違約条項を確認していること
等が認められるから、本件契約書に宅建士の記名押印がないことを理由に、本件違約条項 の効力が否定されることはない。



⑵ Yは、XがYに重要事項説明書を交付しなかったことを根拠として、XがYに対して違約金についての説明をしておらず、本件違約条項の効力はない旨主張する。しかし、宅建業 法35条は、売主が宅建業者である場合に買主に対して重要事項説明書の交付義務を負う 旨定めるのみである。また、XがYに対して本件違約条項について不実を告知したともい えず、同法47条違反の主張も理由がない。



⑶ Yは、Xは宅建業者であるから、Yとの契約前に抵当権の存在と内容を調査し、抵当権者である銀行に抵当権を抹消できるかどうかを確認し、抹消の条件を伝えた上で本件契約をすべきであったのに、この義務を怠ったから、本件違約条項は効力がないとも主張する。しかし、XはYに対し、抵当権が設定されていることを説明しているし、Xが宅建業者であるからといって相手方の取引先の金融機関に対して問合せを行う義務を当然に負うとはい えない。



(停止条件又は解除条件の合意の有無)

 Yは、XとYの間には、本件契約について、銀行が抵当権抹消を承諾することを停止条件とする合意、又は、銀行が抵当権抹消を承諾しないことを解除条件とする合意があった旨主張する。しかし、Y自身、抵当権者が抹消に応じないことは想定していなかったと供述しており、銀行が抵当権の抹消に応じなかった場合についての条件をXとの間で合意していたことは考え難い上、本件契約書には、売主が本件建物の所有権移転時期までに負担を消除することが明記されており、Yが、自分の資金と親の支援で住宅ローン債務を完済し、本件建物の抵当権を抹消する旨述べていたことからすると、その主張は採用できない。



(結論)

 よって、Xによる契約の解除並びに違約条項は有効であり、Yは、違約金240万円及び受領済みの手付金10万円の支払義務を負う。





3 まとめ



 Xが契約無効の主張の根拠とする、宅建士の記名押印のある37条書面未交付については、それが事実であるとしても宅建業法に基づく行政上の処分是非の問題にとどまり、それ自体で民事上の契約無効や損害賠償責任の問題になるものではありません。

 また、買主業者の売主に対する重要事項説明・重要事項説明書交付義務がないことは、宅建業法35条1項がその説明対象を「その者が取得し、又は借りようとしている宅地または建物」としており、条文上も明らかです。

 抵当権抹消可否に関しては、売主が売買契約の前に銀行に確認すべきものではありますが、もし抹消ができなければ売買契約の履行が不可能となることから、不動産売買に不慣れな個人に対しては、トラブルの未然防止という観点で、宅建業者としては売買契約前に銀行へ確認することをアドバイスしておくべきでしょう。

(RETIOメルマガ第156号より)  

RETIOメルマガ

2018年08月01日

   FP・宅建士 金子 at 10:30  | Comments(0) | (財)不動産適正取引推進機構
◆◇◆ 最近の判例から ◆◇◆

                  

[中古ビルの瑕疵担保責任]



買主が瑕疵と主張する建物の不具合は、中古ビルにおいて通常生じうる経年劣化であるとて、買主の賠償請求を棄却した事例


 購入した中古ビルに、外壁の爆裂や雨漏り等の瑕疵があったとして、買主が売主に対し、売買契約の瑕疵担保責任条項等により損害賠償を求めた事案において、買主が瑕疵と主張する建物の各不具合は、中古ビルにおいては通常生じうる経年劣化であるとして、その請求を棄却した事例(東京地裁 平成28年7月14日判決 請求棄却 ウエストロー・ジャパン)


1 事案の概要


 平成26年6月、買主X(原告・個人)は、媒介業者Aの媒介により、売主Y(被告・法人)との間で、築23年を経過する6階建オフィスビル(本件建物)につき、代金を1億6800万円とする売買契約を締結した。同年9月、XはYより本件建物の引き渡しを受けたところ、

イ)外壁の爆裂

ロ)5階の雨漏り

ハ)1階排水管の漏水

ニ)4階居室内の手すりの取付部分の緩み

ホ)4階リビングのクレセントの脱落

ヘ)4階ベランダの水道管の腐食

の不具合を発見した。



 Xは、これらの不具合は瑕疵でありYには、

(1)売買契約の瑕疵担保責任条項に基づく賠償責任がある。

(2)Yは本件建物内各居室の不具合を見せず、エレベーター保守管理契約の契約条件を提供 しないなどの説明義務違反がある。

(3)平成26年11月までには、瑕疵の存在を認めその補修を約したのに履行しなかった債務 不履行がある。

として、Yに対し、Xが当該不具合の補修に要した費用等385万円余の賠償を請求する本件訴訟を提起した。


 これに対してYは、

(1)本件建物は築23年の中古ビルであり、Xが瑕疵として主張する部分はいずれも通常の経年劣化によるものである。

(2)YはAに媒介を依頼して重要事項説明等の業務を委ねたのであるから、Xに対する説明 義務は負わないし、Xから求められた説明を拒んだこともない。

(3)Yは平成27年1月までにはXの要望する補修工事を行いたい旨を伝えていたが、Xは これを了承しなかった。これは履行の提供を拒絶されたというべきものである。

と反論した。



2 判決の要旨


 裁判所は次のように判示して、Xの請求を棄却し、訴訟費用は全額Xの負担とした。



(1)本件建物の瑕疵の有無について



 Xは、本件建物には複数の瑕疵が存在すると主張するが、証拠によれば、それらはいずれも瑕疵とは認められない。

イ)外壁の爆裂は、重大なものとは言い難く、築23年の中古ビルにおいては通常生じうる経年劣化によるものと考えられる。

ロ)5階の雨漏りは、漏水が生じていたことは認められるが、その詳細までは判然とせず、 防水機能の低下が原因であったとしても、経年劣化として合理的に理解できるものである。

ハ)1階排水管の漏水は、その有無及び状況は判然とせず、漏水が生じていたとしても、経年劣化として合理的に理解できるものである。

ニ)4階居室内の手すりの取付部分の緩みは、これが生じていることは認められるが、経年劣化の限度を超えて瑕疵と評価すべきものであるとは認められない。

ホ)4階リビングのクレセントの脱落は、経年劣化として合理的に理解できるものである。

ヘ)4階ベランダの水道管の腐食は、経年劣化として合理的に理解できるものである。



 なお、Xに交付された物件状況等報告書には上記イ~ヘの不具合はいずれも「発見していない」との記載があるが、これはYが現在知っている売買物件の状況について説明したものであって、その記載内容が全て客観的事実に合致することを前提として取引内容が決定されるものとは考えられないから、同報告書の記載が上記認定判断を左右するものではない。



(2)Yによる説明義務違反の有無について



 Yは本件建物の売却について宅建業者であるAに委託していたのであるから、契約条件に影響を及ぼしうる情報についての説明も第一次的にはAから行われることが想定されており、これらの事項についてYは原則として説明義務を負っていなかったというべきである。またYがXから求められた説明を拒んだり、ことさらに虚偽の説明をしたなどとの事実の立証があったとも認められない。



(3)事後的な補修合意の成否及びその不履行の有無等について



 認定事実によれば、Yが補修を約束したとの事実を認めることはできない。また、Yが業者に依頼して本件建物の補修作業を行い、さらに追加工事を行う旨の申し出をしていたことは認められるが、上記一連の行為は任意でのアフターサービスとして行われたものと考えるのが自然であり、YがXに対して瑕疵を補修する旨の合意に基づく法的な債務を負っていたと認めることはできない。



3 まとめ


 本件は中古建物の売買において、買主指摘の不具合が、売主が担保責任を負う隠れた瑕疵に該当するかが争われた事案です。
 瑕疵とは、売買の目的物が通常有すべき品質・性能を欠いていることを指し、隠れた瑕疵とは、契約締結の当時買主が過失なくしてその存在を知らなかった瑕疵をいう(大審判大13・6・23 大13(オ)101号)が、買主指摘の不具合が本件建物において瑕疵に該当するかは、築23年を経過する中古建物として、通常有すべき品質・性能を有しているか、売主・買主の間において本件建物がどのような性質を有することが予定されていたかについて判断されるものであり、買主が瑕疵と主張する不具合がすべて経年劣化によるものとした本件裁判所の判断は妥当なものと考えらます。

 また、「買主に交付された物件状況等報告書は売主が現在知っている売買物件の状況について説明したものであって、その記載内容が全て客観的事実に合致することを前提として取引内容が決定されるものとは考えられない」との本件判示は、実務上参考になるものと思われます。

なお、買主側にも現場での物件確認が重要であることを再認識させるものでもあります。

<RETIOメルマガ第141号より>  


原野商法の二次被害トラブルについて

2018年03月15日

   FP・宅建士 金子 at 14:56  | Comments(0) | (財)不動産適正取引推進機構
★☆《「原野商法の二次被害」トラブルについて》★☆



 国民生活センターが1月25日に、売れる見込みのない土地を買わされた「原野商法」の被害者が再びトラブルに巻き込まれる二次被害が急増していると発表しました。

 被害者の土地を高値で買い取ると持ち掛けて、巧妙に別の土地を購入させる手口が目立っており、契約者は平均75.1歳で高齢者が多いと言われています。

 昨年4~12月に全国の消費生活センターに寄せられた原野商法の二次被害に関する相談数は1196件で、過去最高だった2014年度を上回ったそうです。支払った金額は1件当たり平均467万円にもなるとの報告でした。

 目立つケースは、手続き費用などの名目で金を請求し、実際は土地の売却と同時に新たな土地を購入する契約をさせる「下取り型」です。費用を工面するため自宅を売却させられたケースもあります。今回は、原野商法の二次被害トラブルについて情報提供致します。

そもそも、「原野商法」とは、将来の値上がりの見込みがほとんどないような原野や山林などの土地を、値上がりするかのように偽って販売する手口のことで、1970 年代から 1980年代にかけて社会問題になっていました。国民生活センターでは、過去にも注意喚起を度々行ってきています。

(参考)

1.「多発する原野商法の二次被害」(2006年7月6日)

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20060706_3.html

2.「相談件数が過去最高に!原野商法の二次被害トラブルが再び増加 -「買いたい人がい

る」「高く売れる」などのセールストークをうのみにしないこと-」(2013年8月1日)

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130801_1.html

3.「止まらない!!増え続ける原野商法の二次被害トラブル」(2014年11月7日)

 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20141107_1.html


 販売購入形態としては、訪問販売と電話勧誘販売がほとんどです。2017 年度は訪問販売の件数が731件(71.6%)、電話勧誘販売の件数が226件( 22.1%)となっていますが、トラブルの内容を分析すると、「あなたの持っている土地を高値で買い取る」といった電話勧誘をきっかけとする「売却勧誘」型の事例が大変目立っていると言われています。この「売却勧誘」型をさらに分析すると、契約内容の詳細を説明せず「手続き費用」「税金対策」などといった名目でお金を請求するが、実際は原野等の売却と同時に新たな原野等の土地の購入の契約をさせている(結果として差額分を支払わせる)という「下取り」型(「売却勧誘-下取り」型)と、売却のために必要だとして原野等の調査や整地などの費用を請求する「サービス提供」型(「売却勧誘-サービス提供」型)に大きく分けられます。最近では、「売却勧誘-サービス提供」型に代わって、「売却勧誘-下取り」型の相談が目立っています。そのほか、数十年前に購入した原野等の土地の管理費を突然請求するという「管理費請求」型も多く見られるそうです。


相談事例から考えられる問題点としましては、以下の通りです。

1.不当な問題勧誘が行われている

(1)契約の重要な部分について、ウソの説明をしている。

具体的には、口頭で説明される売却額と契約書に記載されている売却額が異なっているケースがみられます。また、購入費用は後で返す、消費者が購入した土地は後で業者が買い戻すと説明する事例もみられますが、実際に返金や買い戻しが実行されたケースは確認できておらず、非常に悪質な事案が目立ちます。

(2)原野等を売却する際、土地の購入契約もセットだと消費者に気付かせていない。

原野等の土地の売却契約をする際、業者は「手続き費用」や「税金対策」など、さまざまな名目でお金を支払うように要求しますが、契約書を確認すると、売却契約と同時により高い値段の別の原野等の土地を購入させられたことになっており、様々な名目で支払わされた代金は、実際にはその差額分ということで、この点について、業者は土地の購入契約を消費者に認識させるような説明をしていないケースがほとんどだと言われています。

(3)子供に迷惑をかけたくないという消費者の気持ちに付け込んでくるケースが多い。

1970 年代から1980 年代にかけて現役世代の時に原野等を契約した消費者は現在高齢になっているわけですが、「子供たちに負の財産を残さないために原野等を手放したい」という高齢者の気持ちに付け込んで、悪質な業者は勧誘を行っているものと考えられます。

(4)売却する土地にあたかも価値があるかのようなセールストークを行っている。

「土地を欲しがっている人がいる」などとあたかも売却が確実であるかのような説明や、「オリンピックまでにその土地一帯に複合レジャー施設を造る予定」などと言って、消費者が興味や関心を持っていそうな将来の事柄に絡めて、あたかも売却する土地に価値があるかのように思わせるセールストークが行われているそうです。そのほか、「震災被災者の仮設住宅を作るためあなたの土地が必要」、「福祉関係の施設を造る計画がある」等と社会貢献につながると思わせるセールストークもよく見られるそうです。

2.交付される書面に問題がある

(1)宅地取引と誤認させているケース

業者の中には、「宅地建物取引業」の免許を取得しており、契約書面にも「宅地建物取引業法○○条の規定に基づき~」と記載をしているケースが見られるそうです。しかし、山林や原野などの土地は宅地ではないため、基本的には宅地建物取引業法の適用はありません。

なお、業者が免許を取得していることを信用して契約してしまう事例もみられますが、宅地建物取引業の免許を持っていても、悪質な勧誘等を行う事業者がいるため注意が求められます。

なお、「宅地」とは、「建物の敷地に供せられる土地」のほか、都市計画法上の用途地域内の土地で、 道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものもあります。また、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、「宅地」すなわち「建物の敷地に供せられる土地」 とは、現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地をいうものであり、その地目、現況の如何を問わないものとするとされていまして、原野であっても宅地建物取引業法の適用がある場合もあります。宅地建物取引業法の適用がある場合は、特定商取引法の適用はないことになります。

(2)特定商取引法に定める記載内容を満たしていないケース

(ア)法律に定める記載事項が記載されていない

訪問販売や電話勧誘販売での原野等の取引は原則特定商取引法の対象であり、業者には 特定商取引法に定める記載事項(クーリング・オフの条件など)が記載された書面の交付が 義務付けられています。しかし、記載すべき事項が記載されていないなど、不備のある書面が用いられているケースがよく見受けられます。

(イ)クーリング・オフはできないと誤認させる記載がある

業者が用いる契約書面には「本契約は買主自らの申し出により自宅にてご契約させて頂 いているので、クーリング・オフの適用は除外といたします」などと記載がある場合があるそうです。しかし、そもそも自宅ではない場所で契約しているなど、事実と異なる記載が行われているケースがみられ、このような記載は、クーリング・オフはできないと消費者が誤認するおそれがあり非常に問題だと言えます。消費者自らが主体的に自宅での契約を望むケースはなく、業者から訪問したい旨の申し出があり、これを承諾したケースがほとんどかと思いますので、この場合、「請求」にはあたらずクーリング・オフの適用除外となること はありません。

(3)請求の根拠が不明

根拠がはっきりしないにもかかわらず、数十年前に契約した土地の管理費等の支払い義務があるとして請求書が送付されるケースがみられますが、このケースにおいては、業者が支払督促を行う場合もあり、注意が必要です。

(4)深刻な相談事例が寄せられている

契約時に支払う金額が高額化しているだけでなく、お金がない高齢者に対して自宅を売却させてまでお金を支払わせるなど高齢者の財産を根こそぎ奪う深刻なケースまで発生しています。

(5)消費者がクーリング・オフの通知をしても対応されず、業者と連絡不能になる ほとんどのケースで最終的には連絡がつかなくなるそうで、取引業者の事業実態が不明であり、詐欺のおそれも十分に考えられます。

以上のことから、消費者への注意喚起が今後さらに必要です。対策としては、以下の通りです。

(1)「土地を買い取る」「お金は後で返す」などといわれても、きっぱり断る。

原野商法で購入した土地について、「土地を買い取る」などといった勧誘で実際に消費者が利益を得られたケースは皆無です。トラブルに遭うおそれが非常に高いため、電話や自宅への訪問で勧誘を受けてもきっぱりと断ることを業界全体でも注意喚起する必要があります。

(2)宅地建物取引業の免許を持っていても注意する。

宅地建物取引業の免許を持っていても、悪質な勧誘等を行う事業者がいるため、原野等に関する売却話があったときは、慎重に対応することを呼び掛ける必要があります。

(3)根拠がはっきりしない請求にはお金を払わず毅然と対応する。

請求書が送られてきても、言われるがまますぐにお金を支払わないようにすることです。但し、裁判所から特別送達が送られてきた場合には、そのまま放置すると、業者の請求がそのまま認められてしまうおそれがありますので、絶対に放置せず、すぐに消費生活センター等に相談していただきたいと思います。


とにかく、少しでも不審な点を感じたら、すぐにお金を支払うことは絶対にせず、消費生活センター等に相談しましょう。周りの人も高齢者がトラブルにあっていないか気を配り、原野商法の二次被害トラブルを関係者同士の協力で防ぐことかが求められます。周囲の高齢者の生活に不自然な点があれば消費生活センター等へ相談するよう勧めましょう。

  今回のような原野商法の二次被害トラブルの拡大は、不動産関連事業者への不信感にもつながりかねず、とても残念なニュースです。被害者のことを思うととてもお気の毒ですが、今後の被害拡大とトラブルの未然防止のために、機構としても、引き続き有益な情報提供と助言業務に努めて参りますので、引き続きのご理解とご指導の程をどうぞよろしくお願いいたします。

(参考)独立行政法人国民生活センター記者発表資料(平成30年1月25日)

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180125_1.pdf

                                                      <RETIOメルマガより>